京都比良山岳会

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No. 4147 伊藤新道〜裏銀座

2026 年 8 月 9 日(日)〜13 日(木)

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【参加者】 CL :MK、SN、AH、DF(会員計 4 名)

【行程】8 月 10 日 高瀬ダム(6:45) ~ 湯俣山荘(9:00)~ 第一吊橋跡(11:00) ~第五吊橋跡(14:30) ~野湯(16:00) ~ 第五吊橋跡(16:50) テント泊

8 月 11 日 泊地 ~ 庭園(9:30) ~ 三俣山荘

(10:30) テント設営 自由行動

8 月 12 日 泊地(3:50) ~ 水晶小屋(6:30) ~野口五郎小屋(9:50-11:10) ~烏帽子小屋(13:22) テント泊

8 月 13 日 泊地(5:10) ~ 烏帽子岳(5:45) ~幕営地・撤収(6:50~7:40) ~ブナ立尾根~高瀬ダム(10:30)

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硫黄尾根の向こうに槍ヶ岳

【感想】64期 MK

伊藤新道は 4 年前に最初の計画があってから何回か計画しては中止で今回企画してやっと行くことが出来ました。

水量も少なくなってきたとはいえ湯俣山荘のデータでは多いところで水量 90cm。まだ渡渉のリスクはありルーファイ必須、行程も長いので無理せず途中一泊して、三俣山荘でもテント泊して裏銀座を歩くゆったりプランにしました。

【1日目】七倉山荘前よりクシーで高瀬ダムへ。湯俣までほぼ平坦な道。湯俣山荘で伊藤新道の入山申請を提出。タブレットに記入したらスタッフさんにレクチャーを受ける。 橋を渡ったら最初の渡渉。右岸を歩いてると湯気が。脇に熱い温泉が沸いている。そんな場所をNさんがサンダルで歩いている。靴底溶けますよ〜。硫黄芝や噴湯丘なども珍しい自然の造形物も見ることが出来て楽しい。

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黒いのは硫黄芝という温泉中の硫黄酸化細菌の集合体らしい

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天然記念品の噴湯丘

高巻きがあったり渡渉ポイントを探して繰り返すので進みは遅くガンダム岩まで意外と時間かかった。一の沢でとりあえず 1L 水を汲んでおいた。二の沢付近の渡渉は腰までは深さと流れがあり、流されそうになり途中で止まって耐えてからやっと進むことが出来た。ワリモ沢出合の手前の右岸の水場で 2L 汲んでザックが重くなった。渡渉を繰り返すと第五吊橋跡に到着。広い適地がありテント設営。空身で野湯へ行くことに。

野湯までの道のりはこれまでよりワイルドな風景が広がりなかなかハード。大きな岩に上がっては越えられずまた下に下りたりと。ようやくそれらしき場所が見えてきた。テントを張ってる方がいる!スペースは狭いので 4 テンは無理そう。最後の渡渉が分からずウロウロしてると指差しで教えていただいた。

野湯の湯加減はちょうどいい。たまに熱いところもあるので注意。お湯に浸かってると向かいの岩壁にカモシカがいて私達をガン見してる。垂直に見える壁をどうやって歩くか見たかったけどこっちを見たまま動かない。もっとここで遊んでいたかったけど日が暮れそうなのでテントへ戻る。晩ご飯はけいちゃん(岐阜名物の鶏)。

【2日目】この日は三俣山荘までの短い行程。どうせまた濡れるけど濡れたウェアを着るのはなかなか辛い。赤沢出合からのルートがいまいち分からず上に登ってしまい、不安定な急斜面をまた赤沢へ下りた。赤沢を離れたら沢は終わりで山パートに入る。途中から急に歩きやすくなり予想より早く三俣山荘に到着。

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伊藤新道から鷲羽岳との分岐点より。三俣山荘まではすぐ。

テント場を張ったら三俣山荘でランチ。その後は各自ピークハントへ。私は少しのんびりしてから鷲羽岳へ。山頂でやっと電波が入った。三俣山荘ではソフトバンクしか入らず合流する予定のYKさんに連絡出来なくて気がかりだった。

テントへ戻ってしばらくすると太郎平から来たYKさんと合流することできた。5 人で三俣山荘の夜カフェへ行く。別々のテントでもこんな山奥でおしゃれなカフェでみんなでほっこり出来るのは最高!夜は激しい暴風雨であまり寝むれず。

【3日目】雨も止まないので鷲羽岳ルートはやめて黒部源流ルートを通ることになった。大雨の中撤収し、朝 4 時に真っ暗で出発!沢靴は別に登山靴も持ってきてたがどうせ雨でびしょ濡れになるからあえて沢靴で歩く。

強雨・爆風に煽られ寒くてたまらない。なんとか水晶小屋に到着すると身体の冷えたメンバーは震えが止まらなく小屋の人がストーブを付けてくれたり、湯たんぽまで貸してくれた!素晴らしい対応に感動。私のザックカバーは爆風で飛んでいってしまったし、無理やり詰め込んでザックが破れてきてザックの中が水浸し

になっていた・・。

水晶岳はパスして裏銀座稜線へ。富山市内も大町市も晴れてるらしいが、期待虚しく雨は全然止まず強風の野口五郎岳を経て放心状態で野口五郎小屋へ辿り着く。小屋での休憩は 1 時間1 人 400 円也。

烏帽子小屋が近づくと先に行ってたAHさんが迎えに来てくれた。テントの中に入り湯を沸かしたりして温まる。伊藤新道よりこの日の方がびしょ濡れだ。夕方になってようやく雨が上がった。

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フローティングロープで濡れたものを干すが全く乾かなかった・・

【4日目】朝食後、烏帽子岳へピストン。青空が出て来て前烏帽子では綺麗な景色を見ること出来た。テント撤収し、無事に高瀬ムに到着。タクシーで七倉山荘に戻り、七倉山荘の温泉に入って帰路についた。

伊藤新道は期待以上で、また行きたいと思える場所でした。参加された皆さん、色々フォローしていただき楽しい時間をありがとうございました!

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新道の前半のへつり

 

【感想】26期 SN

伊藤新道から黒部源流・裏銀座の縦走

(湯俣川源流の野趣あふれる温泉と雨で寒さに震えた裏銀座の縦走、そして体力の限界)

北アルプスといえども、8月は暑い。特に登りは。ということで、今回は、暑さを忘れさせてくれるであろう沢筋の伊藤新道を遡行し、三俣蓮華岳~野口五郎岳~烏帽子岳を縦走する裏銀座の山行に参加した。

8月10日

高瀬ダムから林道歩きで足慣らししつつ湯俣山荘に。天気は上々、湯俣山荘では沢遊びに来られている方も多くいるらしく、マリンブーツがたくさん干してあった。湯俣山荘を出て、ほどなく湯俣川に出て伊藤新道に入る。湯俣川の出だしで温泉が噴き出している箇所を通る。上流にある野湯に期待が深まる。

何度も岩をヘツリ、渡渉を繰り返し、ガンダム岩を越えてしばらく行くと「三俣山荘・茶屋」と書いた案内板が出てきた。そこに、焚火後と適度の広さの砂地があったのでテントを設営。

ここまで、岩のヘツリの緊張感や渡渉もあり、暑さはあまり感じることはなかった。

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ガンダム岩から下に降りるSNさん

ここから、伊藤新道の目玉の野湯まで、タオル片手に30分ほど上流に向かうが、今までと同じような岩のヘツリ有、渡渉ありで、ちょっと装備は簡易すぎたかな、と反省。緑色の温泉の野湯に浸かって、しばし疲れをいやしていると。対面の山のガレ場の急斜面にカモシカ。何を思っているのか、こちらの方をじっと動かず見ている。しばらく睨めっこしていたが、先にこちらが温泉から出て、テント場への帰路についた。

8月11日

テント場から湯俣川を30分ほど遡上し、湯俣川を離れ、尾根上を三俣山荘までの登り。急登にあえぎ、高度を上げていく。見晴らしが良くなってくると、左手に北鎌尾根を従えた槍ヶ岳の絶景が青空を背景に見えてきた。お昼にはテント場に到着し、ゆっくりした後、三俣蓮華岳に登る。テント場に戻ると北西の空に黒雲が現われ、風が冷たくなってきた。夜から小雨が降りだす。

8月12日

本日は、烏帽子小屋までの長丁場。小雨の中、日の出前から出発。ガスって視界がないので、鷲羽岳をパスし、黒部源流のコースを通って水晶小屋を目指す。稜線に出る頃には風も強くなり、寒くなってくる。視界が無いので水晶岳へのピストンはパスし、野口五郎岳から烏帽子小屋を目指す。天気は小雨模様で、多少風の強い箇所はあったものの歩きにくいというほどではなかったが、寒い。あいにくの天気で景色を楽しむことはできなかったが、雷鳥を数か所で見ることができ、ほっこりした。当初予定していた行程をショートカットしたので、予定より早めに雨の中、烏帽子小屋のテント場に到着。

8月13日

早朝、雨は上がっていたが、テント場はガスに包まれていた。日が昇るにつれ、雲が晴れ、視界が良くなってきたので、烏帽子岳へ登る。前烏帽子では、視界がはれ、裏銀座の山々や立山方面の山々が見渡すことができた。

私にとっては久々の長期のテント泊の山行で、ここまでで結構足にきていた。高度を下げるにつれて、足の筋肉が悲鳴をあげ、高瀬ダムに下ったころには、足がヘロヘロになっていた。

稜線での視界が無かったのは残念でしたが、伊藤新道の渡渉や温泉、雨の中での雷鳥との出会い等、思い出深い山行になりました。

なお、メンバーのスピードについて行けなくなったなあと感じた山行でもありました。

【感想】59期 AH

伊藤新道には多少興味はあったのだが、信州版の双門の滝ルートのようなイメージもあり単独で行くのには躊躇があり、かと言って奥深さもあって、一般的な歩行速度のメンバーで行くとなると 2 泊以上は余儀なくされ、 3 日以上の休日を取ることが難しい私にはハードルの高いルートだと諦めていた。しかし今回はお盆休みにかけての例会とあって是非にと参加させて頂いた。

個人的に晴嵐莊までは二度ほど行ったことはあったのだが、その先にこんな不思議な景色が広がっていたのには驚いた。

深い谷間に幅広い沢が流れているのは鈴鹿などでも見られるが、岩肌が赤茶色く、硫黄も付着し、時々沸々と熱湯が噴き出ているところもあるのはまさに異様。よく地獄谷の名が付けられる場所は目にするが、これこそが正に本物ではないかと思えてくる。

9 月までは水量が多く伊藤新道歩きには適さないような話も聞いたことがあるが、近年の降雪量の少ない状況では必ずしもそうではないようだ。

今回も比較的水量は少ないようで、割合安全にアタックできた。それでも間違って流されれば大変なことになる箇所もいくつかはあるので緊張はする。

苔が生えない水質とのことで、フェルトの沢靴は適さないらしい。ビブラムソールが食いつきが良いとのことだったので、私はトレランシューズ 1 本で挑むことにした。無数の渡渉をしたが、腰上まで浸かることはほぼ無かったので、適切なルートファインディングが出来ていたのかと思う。

第五吊橋跡地でテントを張ったが、その後の野湯までの道のりが思いのほか険しかった。

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伊藤新道テント場

11 日は赤沢を遡上して三俣山荘まで抜けた。沢パートが終わってからも、心もとないトラロープのステップを踏み込む必要のある箇所があったり危うい道は続いた。

三俣山荘には 11 時過ぎくらいに到着。小屋のカフェでまったりと昼食を頂いたあとは、それぞれが行ってみたい近辺のピークへ空身での散歩に出かけた。私は目の前の名山、鷲羽岳へ。

明日も通るのにとは言われたが、予報通りだと明日晴れるか分からないし、今この天気で景色を見ておきたいからとことわって出かけた。思った通り最高の景色だったが、テントに戻ってしばらくすると小雨が降り始めた。

12 日は朝から小雨で、靄も濃かった。鷲羽岳経由はせず、黒部源流ルートでワリモ岳分岐まで迂回することに。連日の山行の疲れと登り基調であることで、メンバーの歩みも遅い。真夏の山行ということで私も防寒対策を甘くみていたが、このペースだと体が温まらず低体温症が進んでしまう。途中の水晶小屋では湯たんぽを貸してもらったり大変良くして頂いた。そこからはなるべく運動量を増やして体の放熱を防ぎたいのと、目的地までの行動時間を減らした方が低体温症対策になると思い。単独で先行させてもらった。

途中で雷鳥親子が登山道を先導して歩いてくれたりしてホッコリする場面もあったが、結局一日中雨は止まず、その日は辛い山行となった。

烏帽子小屋には早くに着けたので、受付を済ませておき、テント場を確保しておいた。

13 日は早朝はガスっていたが、日が昇るとともに景観が広がった。素晴らしい薬師岳や水晶岳の遠望に、近くにそびえる烏帽子岳の雄姿。とは言え雲は流動的で、景色は見えたり隠れたりであったのだが、最終日にこれらの展望が拝めたのは嬉しかった。これが無いと裏銀座の醍醐味を感じられない。

ブナ立尾根はこの荷物で下るのは大変かなと思ったが、案外早くに下りられたように思う。

帰りのタクシーも山中で予約してもらい大変スムーズだった。

下山後は一度は入ってみたかった七倉山荘のお風呂へ。結構綺麗で感じのよいお風呂だったが、いかんせん熱すぎた。その後入ったNさんは水で薄めていたようだが、良かったのだろうか?(笑)

最後までずぶ濡れ、硫黄臭の取れない山行であったが、満足度は大変高かった。

 

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テント場から野湯までの道は険しい・・

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天然バスクリン色の野湯。帰って 1 週間経っても付き纏う伊藤新道臭!

【感想】 62期 DF

三俣山荘の SNS で知って以来、ずっと憧れていた伊藤新道。沢未経験の自分には単独行のハードルが高く、今回の 3 泊 4 日の例会は願ってもない好機になった。初日は快晴のもと湯俣川を遡行した。腰まで水に浸かるような本格的な渡渉は初めてで、序盤こそ物珍しさに写真や動画を撮っていたものの、川を歩き続けるうちにいつしか水の中が普通の道のように思えてきた。道中ではあちこちから温泉が噴き出し、水底には硫黄芝が藻のようにゆらゆらと揺れていて、川と温泉が混ざり合う景観が面白かった。第五吊り橋跡にテントを設営後、さらに渡渉して野湯へ。湯温は体感で 37〜38 度ほど。大好きなぬるま湯で、みんなで「いい湯だな〜」とほっこり浸かっていたところ、AHさんが「カモシカだ」と声をあげた。見ると、対岸の浮き石だらけの崖に本当にカモシカがいた。ほぼ垂直な壁をどうやって移動したのか見当もつかないが、こちらを気にして動けないらしく、湯上がりまで崖の真ん中で釘付けになっていた姿が、この旅一番の思い出になった。

2 日目も好天。急登と笹薮を抜けると硫黄尾根と槍ヶ岳が見えてワクワクした。11時頃に三俣山荘へ到着し、展望食堂でジビエ丼を食べた。意外にも甘めの味付けでお麩で嵩増しされていたから、隣りのカレーが羨ましくなった。食堂からも槍ヶ岳がよく見えて、ずっとのんびり過ごしたい誘惑にかられたが、せっかくの自由時間だし、行ったことがなかった双六岳方面へ歩いてみることにした。途中で槍ヶ岳はガスに隠れてしまったが、一人で気ままに歩く時間はやはり心地いい。散策を終えて山荘に戻ったあと、夜は合流したYKさんも交えて山荘の喫茶へ行き、温かいチャイをいただきながら至福の時間を過ごした。

3 日目は台風。予報に反して未明から強風の霧雨となり、朝 4 時前のテント撤収がとてもつらかった。黒部源流域から登り返した稜線では、吹きつける向かい風と寒さにみんな消耗していった。自分は濡れも軽度でほとんど寒さを感じずに済んだが、夏でも身体を濡らせば危ないと身をもって思い知った一日だった。景色は何も見えず、夕方までずっと雨もやまないなか、烏帽子小屋のテント場に入ったのは 14 時頃。とにかくつらい一日だった。

4 日目は、明るくなってからまず烏帽子岳に登った。ずぶ濡れの靴を履くのはつらかったが、ガスはすっかり抜けており、途中で前日歩いた稜線がよく見えて気持ちがよかった。今回は水晶岳に登れず消化不良だったので、ブナ立尾根はいつかまた歩きに来たい。

湯俣川を歩いてから1週間たつのに、これを書いている今もまだ硫黄の匂いが抜けていない。これを「伊藤新道臭」というらしいが、服から漂う匂いに妻から文句を言われつつ、いい山行だったなとしみじみ思い返している。企画してくれたMKさん、車を出してくれたSNさん、そしてAHさんとYKさん、ありがとうございました。一緒に歩けて楽しかったです。

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最終日、前烏帽子から見た朝の風景