京都比良山岳会

山行スタイル

67期メンバー TS

古道探索とはどのようなことなのでしょうか

京都北山と呼ばれる山域には、かつて京と若狭を結んだいくつもの峠道が縦横無尽に刻まれていました。明治の近代化によってそれらの道は役割を終え、今は山の中に忘れられた形でひっそりと残っています。

今西錦司や森本次男、金久昌業といった偉大な岳人たちもこれらの古道を調査しました。なかでも金久昌業氏による不朽の名著『北山の峠』(全3巻、ナカニシヤ出版)は刊行後50年近くを経た今でも「北山歩きのバイブル」と呼ばれ、京都北山の地域研究では欠かせない文献となっています。

この『北山の峠』をはじめ、大先輩たちの過去の記録や古い地形図なども参照しながら、失われた古道の痕跡を山中に追い求めています。

これまでどんな古道探索をしてきましたか

京都北山と隣接する杇木、野坂山地などをフィールドに古道の痕跡を追い求めてきました。印象に残っているのは、若狭街道の中でも正確なルートがわかっていない丹波越の調査、金久昌業氏が人生を賭けて解明した近江坂古道をテント泊で踏査したことなどです。

厳冬期の江若国境・根来坂では少々厳しい目にも遭いましたが、これも楽しい思い出です。また、調べた限りではこれまで記録を発見できなかった、荒谷峠の古道の痕跡を見つけたときには大きな感動と興奮を覚えました。

これからどういうふうに取り組みたいですか

月並みですが、鞍馬から小浜へと至る若狭街道(いわゆる鯖街道)は通しで歩いていないので一度歩いてみたい(もちろん丹波越ルートで)。また、古道探索の意味を少し広げて、かつてはハイカーに歩かれていたけど今はほとんど歩かれておらず廃道となっているような道にも調査の範囲を広げていきたいと思っています。

最終的には北山のすべての尾根と沢を歩いてみたい。ヤブを掻き分け、倒木に埋もれた沢を苦労して登った末、深い山の中に一筋の古道の痕跡を発見したときの喜びは何者にもかえがたいものがあります(発見できないことも多いですが)。ぜひ一緒に失われた道の痕跡を追い求めて行きましょう。